2008年10月3日金曜日

監査提言集

いま、私の手許に、「監査提言集」というものがあります。すでにいくつかの会計関連のブログで触れられていますが、これは、日本公認会計士協会の監査業務審査会が会員に配布した小冊子で、ひとことで言えば「監査見逃し事例集」です。それぞれの事例はごく簡単にしか書いてないので詳細は不明なのですが、何が起こって何が問題だったのか、というエッセンスはわかるようになっています。

事例数は43にも上っています。これが何年分なのか不明ですし、「必ずしも事実を記述しているものではない」とあるので一概には言えないのですが、数年前に始まった会計士協会による品質管理レビューで発見された事例なのでしょうから、それだけを考えても、相当数の見逃しがある、ということを予測させます。

で、私としては、個々の見逃し事例の内容よりも、むしろ別のところに目が行ってしまいました。まえがきに、「問題発覚の発端」という項があるのです(以下引用)。

本提言集に掲げた事案例について、記載されている問題事項が発覚することとなった発端としては、次のように理解することができる。
会社が作成する財務諸表に関しては、いろいろな立場の人がその信頼性について注目していることを、監査人としても忘れてはならない。
●会社あるいは監査法人等への内部通報
●行政当局の調査
●会社破綻後の調査
●監査人の問題意識から、過年度財務諸表への影響が発覚
●社内調査
●首謀者の自白
●その他

要するに、発覚の発端は、ほとんど「チクリ」であることがわかります。つまり、監査人が自力で発見した事例は少ない、ということが読み取れます。「会社破綻後の調査」なんて堂々と書いてありますね。

これじゃ、「会社の倒産=監査の失敗」と受け取られても仕方がないですね。。。

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