2009年8月31日月曜日

トヨタの発想(その2)

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これをお読みになっていらっしゃる皆様は、在庫というものは少ないに越したことはない、ということを、よくご存知なのではないかと思われます。何のために在庫を仕入れるのか、といえば、売るためです。何を当たり前のことを言ってるんだと笑われてしまいそうですが、その一方、在庫というものは、ちょっと気を抜くとすぐに膨れ上がって、倉庫いっぱいにたまってしまうものです。

売れるために仕入れたとはいえ、そりゃ確かに全部売れるとは限らない。予測を間違えれば在庫が膨らむ可能性だってある。そんなことは織り込み済みで、それでも見込みで仕入れなきゃいけないのであれば、それはある程度仕方のないことだし、それらを見込んだ、理論的に最適な在庫保有水準というものがあるはずだろう。ましてや一括購買によって単価が下げられるのであれば、多少の在庫増をカバーするだけの粗利を確保できるだろう。。。

確かにそういう考え方もありますね。そういう発想の人は多いと思います。でも、トヨタの発想は違います。トヨタ生産方式を一言で表現するとしたら、やはり、「必要なものを、必要なときに、必要なだけ作る」という言葉になります。これ、どういう意味なのかお分かりでしょうか?

通常なら売り手目線で在庫管理するところを、トヨタは買い手目線で考えます。モノの流れの下流からの発想です。モノがほしい立場の人が、モノを供給してくれる人に向かって、「明日までに○○を100個ほしい」と要求し、要求されたほうは、その要求があってから作り始めるのです。確かにこれなら、在庫水準をきわめて低く抑えることができるでしょう。

さて、ここで問題なのは、ここまでやる必要があるのか?ということです。在庫なんて持たないほうがいいってことは、「直感的には」誰でもわかることですが、物には限度がある。ある程度の水準にまで減らしたら、それ以上(例えばゼロを目指す)を追い求める必要があるのか、という考え方もあろうかと思います。さて。。。

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2009年8月22日土曜日

「資産を使う」とは?

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ところで前回、資産を最大限に使えば使うほどお得です、なんて軽くいいましたが、資産を使う、とはどういうことなんでしょう?今回は補足(というより議論の前提)として、これを説明しておきましょう。

一般に「資産を使う」と言った場合、不動産を利用するケースを思い浮かべる方が多いと思います。そのとき、何かが発生します。何でしょう?そう、費用です。お金がかかるわけです。賃料を支払うようなケースでは、その支払額が費用となります。

では、その建物が自分の資産だったら?会計的には、使った分だけ資産が目減りして、その目減り分が費用に転化すると考えます。でも実際には、使ったためにどの程度目減りしたのかを正確に測る、なんてことはできません。そこで、その利用度の多寡にかかわらず、規則的に目減りさせ、同額を費用にするという手続きをやります。これが減価償却というヤツの正体です。

前回、スーパーで買ってきた食材の話をしました。この場合、「使う」とは「食べる」と同義です。買ってきただけでお腹いっぱいにはなりません。食べずに取っておけば、その食材はまだ目の前にあるのですから、それはお金と交換しただけですので、資産なのです。この段階では、まだ費用になっていないのです。そして、食べて初めて費用になるのです。

ただし、会計的には、資産を使うことによって期待されることがあります。資産を使うというのは営業活動にほかなりません。営業活動において期待されること、といえば、収益の獲得、ですね。つまり、費用を使うということの裏には、収益(わかりやすく言えば売上)の獲得が期待されているのですね。でもこれ、期待される、というだけで、必ず獲得できるわけではありません。

さて、これを前提に、前回の問題をもう一度書いておきます。
(1)特売品を大量に買い込む
(2)その日食べるものだけを買う
これ、どちらがお得なのでしょう?

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2009年8月15日土曜日

トヨタの発想

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かなり久しぶりのエントリーであることについてはあえて言及せず、いきなり本題に入ります。今回は書評といいますか、たまたまトヨタ生産方式に関する本を読みましたので、その雑感を少し。

トヨタといえばジャストインタイムとかかんばん方式とか、そういったタームは頭に浮かぶんですが、実際のところどんな思想なのかわかっていませんでした。一体どんなご利益があるんだろう、などと思っているところに、書店で目に留まったのが「トヨタ式カイゼンの会計学」なる本でした。この本の内容をひとことで言ってしまえば、資産を最大限に使えば使うほどお得です、ということを切々と説いています。と書いてしまうと、そんなの当たり前じゃん、と思われる方がほとんどだと思います。本当に、当たり前なんでしょうか?

近所のスーパーで特売をやっていたら、皆さんはどうしますか?そういう場面に遭遇すると、なんとなく、それを買い込まないと損をしてしまうような気分になりませんか?実際、それを買えば、普段より安く買えるわけですから、食費は安くなりそうな気がしますよね。そうすると、資産を最大限に使う、つまり、今日食べるものだけを買って帰るほうがお得だという、先ほど当たり前だと思ったことがそうでもない感じになってきたのではないでしょうか。

これで問題点がはっきりしてきました。
(1)特売品を大量に買い込む
(2)その日食べるものだけを買う
これ、どちらがお得なのでしょう?

続きはまた近いうちに

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