2009年3月1日日曜日

販路を限定する理由

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久々のエントリーです。

今、私が気になっていることは、

・みすず学苑の電車内広告
・「科学する麻雀」とつげき東北著
・「新宿鮫」シリーズ/大沢在昌著
・ワコールやユニ・チャームなどに就職しようとする男の心理状況
・第58期王将戦、第34期棋王戦の行方(なめかた、ではない)

などですが、いずれも会計や監査とは無関係であるため、ここには書けません。残念ですが割愛いたします。

というわけで、前回の続きです。

某S社(もう名前を伏せる必要もないのですが一応)ご担当者様からお返事をいただきました。ありがとうございました。
その内容は、このひとことに集約されています。

恐れ入りますが、弊社商品の販売方針や企画意図などにつきましては、ご案内がいたしかねます。

要するに、「企業秘密なので内緒です。」ということですね。

これで引き下がってしまうのでは面白くないので、例によって勝手に想像力を働かすことにします。

ここでの問題の所在は、「なぜ学校教育用などとして、自ら販路を限定しているのか」ということです。実は、これに対する答えは非常にシンプルです。つまり、「販路を限定したほうが、限定しない場合に比べて、より利益が増大する」からです。なので、次は「販路を限定するとなぜ利益が増大するのか」を考えることになります。

さて、こういう場合、パターンは二つしかありません。一つは、販路を限定することによって、その、販路が限定された商品それ自体の利益が増大するパターン(利益追求型)。もう一つは、販路を限定した商品の利益はあまり高くはない(場合によっては損失となる)が、それによって他の商品の利益が増大するパターン(損して得取れ型)です。

で、今回の電卓の場合、おそらく利益追求型であろうと思われます。なぜなら、特定の商品を学校教育用に限定し、市中に流れないようにすることによって、メーカー主導で値付けすることができるからです。

学校法人や自治体などに電卓を卸すにあたって、市中で販売されている商品をそのまま流用しても、電卓の機能的な部分で不都合はないと思われますし、検定試験で持込が認められていない機能が指定されているのであれば、そういった機能がない商品を既存のラインナップから選んでもいいわけです。でもS社はそうしなかった。それはおそらく、個々の取引相手との価格交渉が、市中で一般的に付されている価格に引きずられてしまうから、でしょう。まとまった数量を注文するのだから少し安くしてくれ、といった要求もあるでしょうから、下手をすると市中で販売するより収益性が悪くなる可能性があります。これを、教育用に販路を限定することで、利益率を確保しようというわけです。

また、学校教育用に限定して販売する形態は予測がつきやすく、マネジメント・サイドとしては実に都合がいい。学校が相手なら、毎年新入生が入ってくるし、学年によってコロコロと違うメーカーのものに変えるわけにはいきませんから、毎年一定数量を買ってもらえる可能性が高くなります。いわば顧客の囲い込みですね。

そして実は、まったく同じタイプで型番だけが違う商品が、学校教育用以外のラインナップとして、すでに販売されています。ですから、もし、私のようなこだわり変人がいたとしても、それを購入すればよく、わざわざ学校の通販から買う必要もなくなっています。でも、なんだかおかしいと思いませんか?そう。だったら学校教育向けに限定するのをやめればいいじゃないか。

でも、そういうわけにはいかないのです。学校や自治体には、「これは学校向け限定商品なのです」と言えなくてはいけないのです。決して、同じものが市中から購入できてはいけないのです。そうしないと、市中品が相見積りの競争相手になってしまって、価格を維持できなくなるからです。あくまでも、市中品とは型番を変える。違う商品という扱いにする。それが戦略なのです。

以上は、あくまでも私の勝手な想像です。ひょっとして、買い手がだまされているんじゃないか、などと思ってはいけません。だまされてなんかいません。ご安心ください。だって、それを承知で買っているんですから。

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