2009年3月9日月曜日

会社が監査を受けるのは

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だいぶ前のエントリーで、監査の進め方の話を書いた記憶があります。一般の方は、そもそも監査って何なの?何やってんの?と思っておられることでしょうから、そのあたりから説き起こしてみようかと思います。なお、ここでは私の印象をできるだけ分かりやすく書くことにしますので、学問的・専門的にちょっと違うんじゃねーの?と思われる箇所も出てくると思います。なので、専門家の方々は大目に見てください。今のうちに予防線を張っておきますw

経営者は自分の会社の数字を、会社にお金を出してくれた人たちに示して、会社の置かれた状況を説明する義務がある、というのいうのは直感的にお分かりになるかと思います(この「直感的」というのが大事です)。これを、アカウンタビリティ、などといいます。最近はこの言葉もすっかり有名になりましたね。こっちも説明しやすいw

さて、経営者にアカウンタビリティがあるのは分かるんだけど、自分とこの数字を正しく示してくれるとは限らないでしょ、中には嘘つきだっているんじゃないの?という、経営者に対して不信感を抱く人がおります。まあ当然といえば当然です。そんなに簡単にお金をポンと誰かに渡して、これを元手に儲けてくれ、なんて言う人はいません。ホントにこいつは信用できるか?と思うのは当たり前です。

かといって、自分が金を出してやろうかと思っている会社に行って、「経営者に会わせろ」とか「お前ら本当に信用できるのか?」などと騒いでしまっては基地外扱いされて放り出されるのが関の山です。そんなわけで、あの会社は本当に信用できるか調査してくれ、ということになるわけです。それが興信所調査というやつです。わが国には二大興信所(帝国データバンク・東京商工リサーチ)があるおかげで、非上場企業の情報を、かなり広範囲に入手することができます。ムーディーズのような格付会社と違い、情報がきめ細かい印象があります。

ちょっと脱線しましたが、さて、お金をもらうほうだって積極的にお金を集めたいでしょうから、会社の数字を積極的に開示しようとするでしょうし、その数字が信用できなきゃ調べてもらうことだってありうると思います。でも、この人に調べてもらえばみんなが信用する、そういう人たちがいれば便利ですね。それが会計監査人であり、通常、公認会計士がその役割を果たす、というわけです。

そういう意味で、監査人には、その資質として倫理的側面が強く求められるわけですが、そういった専門的職業は会計士以外にない、稀有の存在だというのが、八田先生(・・・チョビ髭の先生)のお説です。確かに弁護士を思い浮かべてみればわかるとおり、依頼主と専門家(=弁護士)との関係は1対1で、弁護士は専ら依頼主だけの利益を追求しますが、監査人としての会計士は、会社の利益だけを追求するのではなく、いわば、ちょうどいいバランスを探す作業だ、ということができます。なので、これは社会的な「制度」として初めて機能します。なぜなら、本来は社会全体が負担すべきコストを会社が代行して負担しているからです。

それでは次回まで。

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