2009年3月21日土曜日

監査の本質(その2)

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前回の続きの前に。

前回の前置きで、監査報酬を企業だけが負担しているのは不公平、ということを書きました。それに関して、ふと思いましたが、株主に負担させようと思えば、配当金から控除すればよいのです。その場合、配当金から控除した額は剰余金から支払われ、残額が監査報酬として費用計上されることとなります。我ながらGood Ideaだと思ったのですが、問題は業績が悪くて配当を見送ることとなった場合ですね。控除したくてもしようがないうえ、それでもなお剰余金から支払ったとしたら、その部分は費用計上されないし税務上の損金にもならないし。いや、そもそも配当利回りをキャッシュ・フローで計られたら、手取りが元の水準になるような配当を期待され、結局は企業が負担しているのと変わらなくなりそう。。。そう簡単には行きそうにありません。

さて、また前置きが長くなりましたが。前回は、監査の本質は2つあって、それは記録と記録との照合、もう一つは記録と事実との照合、であり、財務諸表から証憑までの道のりは、記録と記録との照合の連鎖で成り立っている、という話でした。さてそれでは、記録と事実とが照合されるケースとは、どのような場合でしょう。

いちばんわかりやすいのは、現金です。これは、モノがあって、実際に触れます。数えればいくらあるのか、だれでもわかります。こんなにわかりやすいのなら、いっそ監査人が自分で数えればいい。そう思うのは自然でしょう。実際、彼らは実査(=監査人が自ら現物の数量をカウントすること)が大好きです。だって、こんなに簡単に残高を押さえられる作業はそうそうありませんから。

さて、ここまで読んで、どのように感じられましたでしょうか?なんだ簡単じゃん、それだけ?と思われる方もおられるかもしれませんし、何か腑に落ちないと思われる方もおられるでしょう。感じ方は人それぞれです。当然、この話はこれで終わりではありません。ご興味のある方は、次回まで、いろいろ考えてみてください。

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