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2009年8月22日土曜日

「資産を使う」とは?

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ところで前回、資産を最大限に使えば使うほどお得です、なんて軽くいいましたが、資産を使う、とはどういうことなんでしょう?今回は補足(というより議論の前提)として、これを説明しておきましょう。

一般に「資産を使う」と言った場合、不動産を利用するケースを思い浮かべる方が多いと思います。そのとき、何かが発生します。何でしょう?そう、費用です。お金がかかるわけです。賃料を支払うようなケースでは、その支払額が費用となります。

では、その建物が自分の資産だったら?会計的には、使った分だけ資産が目減りして、その目減り分が費用に転化すると考えます。でも実際には、使ったためにどの程度目減りしたのかを正確に測る、なんてことはできません。そこで、その利用度の多寡にかかわらず、規則的に目減りさせ、同額を費用にするという手続きをやります。これが減価償却というヤツの正体です。

前回、スーパーで買ってきた食材の話をしました。この場合、「使う」とは「食べる」と同義です。買ってきただけでお腹いっぱいにはなりません。食べずに取っておけば、その食材はまだ目の前にあるのですから、それはお金と交換しただけですので、資産なのです。この段階では、まだ費用になっていないのです。そして、食べて初めて費用になるのです。

ただし、会計的には、資産を使うことによって期待されることがあります。資産を使うというのは営業活動にほかなりません。営業活動において期待されること、といえば、収益の獲得、ですね。つまり、費用を使うということの裏には、収益(わかりやすく言えば売上)の獲得が期待されているのですね。でもこれ、期待される、というだけで、必ず獲得できるわけではありません。

さて、これを前提に、前回の問題をもう一度書いておきます。
(1)特売品を大量に買い込む
(2)その日食べるものだけを買う
これ、どちらがお得なのでしょう?

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2009年2月11日水曜日

三菱UFJフィナンシャル・グループが赤字にならなかった理由(わけ)

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前回の続きです。

さて、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が、有価証券の取得原価を付け替えることによって赤字を回避しようとしているわけですが、果たしてそんなことが許されるのか、という話でした。そして、取得原価を取得後に変更するのは、誤りを修正する以外にはありえない、ということも直感的にお解りいただけると思います。

この件に関連する一連の合併は、まず親会社どうしが合併し、その後に子会社どうしが合併したという特徴があります。これらの合併における会計処理と、その前後の連結会計との関係が問題の焦点となります。

二つの親会社をP1社、P2社とし、その100%子会社をS1社、S2社としますと、親会社が合併する前の状態は、「P1-S1」「P2-S2」となります。ここでP1社とP2社が合併し、P3社が成立すると、P3社の下にS1社とS2社が別々にぶら下がる恰好になります。この合併前後では、S1社およびS2社の単体の財務諸表はなんら影響を受けません。

その後、S1社とS2社とが合併し、S3社が成立すると、合併消滅会社S1社およびS2社が保有していた有価証券の合併後の簿価は、合併時点に引きなおされることになります。つまり合併新会社S3社にとって、有価証券の取得原価は合併時点の時価となるということです。

さて、これを前提に思考実験をしてみましょう。

S1社とS2社との合併が、連結決算日の前後で、P3社の連結財務諸表がどう変化するか、を考えてみましょう。たとえばP3社の連結決算日が3月31日であるとすると、S1社とS2社との合併が3月31日以前である場合と4月1日以降である場合とで、S3社の連結財務諸表にどのような変化が生じるでしょうか。

勘の良い方ならもう気付かれていると思います。細かいことは別にして、直感的には、どちらでも変わらない、という結果にならないとおかしいのです。というのは、連結会計とはそもそも、連結グループ会社のすべてを一つのエンティティとみなして財務諸表を作る作業であり、合併とは法的に一つのエンティティとなることです。なので、連結上、S1社とS2社が単体でぶら下がっていても、合併してS3社としてぶら下がっていても、連結グループ全体としては変化がない、いわば内部取引にすぎないというわけです。

そんなわけで、S1社とS2社との合併によって有価証券の取得原価が引きなおされた処理は、連結上内部取引にすぎないので、なかったことにしなければならないという結論になります。さてそれでは、連結上の取得原価はどの時点のものを付ければよいのでしょう?それは、P3社がS1社およびS2社を子会社として取得した時点ということになります。つまり、P1社とP2社が合併した時点、となります。

ここまで来れば当てはめをするまでもなく、MUFGがやろうとしていることは、間違っていた会計処理を修正する行為であると言えることになり、無事めでたしめでたし、と相成りました。

検討結果がつまらないものとなってしまったわけですが(私だけ?)、そうは問屋が卸しませんwここからは私の勝手な想像です。

この修正を、なぜ、このタイミングでやるのか?

おそらく関係者は、MUFGの連結財務諸表が「間違っている」ことに、もっと前から気付いていたはずです。多数の専門家が係わっていると思われるMUFGの連結財務諸表の作成過程で、この間違いがずっと今まで気付かれなかった、ということは考えにくいと思います。2007年3月期の中間連結財務諸表の作成過程で気付いた可能性が最も高いものと思われます。とすると、今まで修正するチャンスは2007年3月期、2008年3月期の2回あったわけですが、でも修正しなかったわけです。なぜか?

好意的に解釈すれば、間違いを公にするのは誰かの責任問題となるから言い出せなかった、という純日本人的な発想もあるかもしれませんが、やはり隠し球として持っていたということなのでしょう。こんな間違いがこんなにタイミングよく発見されるなんて、話として出来過ぎています。経営陣は、このアイディアによって「災い転じて福となす」と思って胸をなでおろし、担当者を賞賛しているかもしれませんが、そのような発想は大いなる誤りである、と思います。

MUFGにはせめて、この3月決算の発表時にはきちんと、「間違っていたので直しました」とはっきり言ってもらいたいものです。

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2009年2月8日日曜日

三菱UFJ、奇策で黒字 保有株の簿価変更で損失抑制

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さて、日曜日だし、なんか書こうかな、と思ってネットニュースを見てみたところ、なんだか得体の知れない変なニュースを見つけてしまいました。これは一体何でしょう?

“三菱UFJ、奇策で黒字 保有株の簿価変更で損失抑制”

報道を要約すると、三菱UFJフィナンシャル・グループ2009年3月期の業績予想が赤字転落を免れたのは、保有株式の取得原価を従来より低いものに変更し、減損損失額が減少したためである、ということです。

。。。えーと。まったく意味がわかりませんね。ちょっと報道の本文を引用してみます。

従来、株式の簿価は三菱東京UFJ銀行が発足した06年1月の株価を基準にしていたが、これを持ち株会社の三菱UFJが発足した05年10月に変更。この間に株価が上がったため、簿価の切り替えによって減損処理額が約750億円圧縮できたという。


文中、「簿価」とあるのは「取得原価」の誤りであると思われます(それはそれで、この記者は大丈夫か?とは思いますが、それはまた次の機会に)。で、取得原価を変更するって一体どういうことなの???なわけです。普通はありえない話です。

そこで、三菱UFJフィナンシャル・グループのサイトから沿革を覗いてみましたところ、確かに、三菱UFJフィナンシャル・グループの発足は2005年10月となっており、その子会社に当たる三菱東京UFJ銀行の発足は、その4ヶ月あとの2006年1月になっています。これらの会社は、三菱東京フィナンシャル・グループとUFJグループの合併により発足したものですが、何らかの事情により、その子会社に当たる銀行の合併が、持ち株会社の合併から4ヶ月遅れた、ということになります。どうやらこのあたりに何らかのからくりがあるようです。

これと報道文とを照らし合わせますと、合併に当たって新会社が受け入れた保有有価証券の取得原価を、当初は銀行の合併の効力が発生した日付の時価としていたのを、持ち株会社の合併の効力が発生した日付の時価に変更した、というふうに読み取れます。これはどう考えても、「間違えていたので正しい方向へ修正した」ということでなければ理屈が合いません。それ以外の説明は不可能です。ということは、連結上、子会社の合併時点で取得原価を付け替えたのは誤りで、親会社の合併時点で付け替えるべきであった、と言えねばなりません。

今日はこれで時間切れとなりましたので(何の時間だ?)、続きはまた後日とします。それでは。

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2009年1月19日月曜日

銀行へ公的資金注入

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巷では有価証券評価損が大変なことになってますね。業績予測を下方修正したり、評価損の総額が80億円を超えると発表する金融機関があったり。それこそ大騒ぎという感じ。とはいえ、これだけ株式相場が下がっていれば、こういった状況は昨年秋口から十分予測できたことで、いわば「想定の範囲内」。それで改めてどうこういうことではないようです。

ところで、金融業でない限り、保有している有価証券のほとんどは「その他有価証券」だろうと思います。その「その他有価証券」の時価下落額がP/L上の損失として計上されるのは、減損による損失しかありえません。基本的には、その減損損失は、通常、取得価額の半分以下になったら計上されるものです。この場合、時価が回復することが合理的に説明できれば損失を計上しないことになるのですが、通常そんなものが合理的に説明できるはずもなく、あえなく特別損失として計上されることになります。そして、減損損失の宿命として、一気に巨額の損失が計上されることになるわけです。

それだけではありません。減損損失の計上に引っかからなかった銘柄でも、時価が落ちていれば、その額まで簿価を切り下げ、その切り下げ額と同額を純資産の部から控除しなければなりません。これを「資本直入法」といって、時価評価はするけれども期間損益とはしないという、なんとも摩訶不思議な会計処理なのです。

ここまではまあ、とっくの昔に時価会計にも慣れて当たり前になったことですし、このご時世なら仕方ないか、で済む話なのですが、仕方がないでは済まされないのが財務規制というヤツです。財務規制で最も有名なのが金融機関のBIS規制でしょう。BISとは国際決済銀行のことで、大雑把に言えば、国際的な取引を行う銀行の自己資本比率は8%以上でなくてはならないというものです。

そこへ今回のような株式相場の下落が起こったらどうなるか?答えは簡単。自己資本比率が急激に下がることになりますね。つまり、資産が減少し、同時に資本が減少したわけです。分子と分母が同額減れば、その割り算も小さくなりますよね。

そこで各銀行は、BIS規制に引っかからないよう、自己資本比率を維持しなければなりません。自己資本比率を上げるのに最も簡単な方法は増資ですが、株価が滅茶苦茶なこのタイミングでは、とても実行できる話ではありません。そこで、資産と負債を減らすしかありません。つまり、先ほどの分母だけを小さくしようということです。

で、何が起こるか、というと、貸し剥がしです。銀行は通常、各企業に対して貸出枠を設けています。たとえば10億円の枠を与えておいて、その範囲内で貸出を行います。ですが、銀行のB/Sには、実際の融資残高とは無関係に、枠として与えた10億円が負債に載ります。貸出だから資産の間違いだろ、と思うあなたは偉いですが、ここでは両建てで負債にも載る、とだけ覚えておいてください。そうすると、貸し剥がしをやれば、資産と負債が一挙に消えて自己資本比率が上がってめでたしめでたし、と相成ります。

貸し剥がしはイカン、とのたまうテレビコメンテーターたちは、この仕組みをどこまでわかってるんでしょうか。イカンのはわかっているしホントはやりたくない、というのが銀行側の言い分でしょう。そもそもお客さんに対して「もうお宅には売りません」というのと同じです。そのお客さんの信用度が急激に下がったのであればともかく、おそらくそれほどでもないところからの貸し剥がしもあるのではないでしょうか。

貸し剥がしがイカンとなれば、今度は何が起こるかというと、「公的資金注入」つまり、政府出資ですね。増資資金を政府が出すことによって自己資本比率を維持しようというわけです。まさに税金を使った損失補填にほかなりませんね。とはいえ、BIS規制に引っかかれば邦銀が国際取引から締め出されるわけですから、政府としても、それしか手段がないとなれば、応じざるを得ないでしょう。

以上、なんとなく腑に落ちないのですが、どうやらそういうことになりそうです。どこか引っかかるんですが、どこなのでしょう。何かがおかしい。何かが。

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2008年12月31日水曜日

粉飾は犯罪です

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さて、今年も今日で最後です。今年の締めは適当に雑文でも書いてお茶を濁そうかと思ったのですが(かといって普段の文章が雑文でなくて何なのかという気もしないでもありませんが)、出張&プライベートの旅行から帰ってきてみれば、ビックカメラが過年度の財務諸表を修正するという話が。この年末の押し迫った時期に何してんのかね、とも思うのですが、去年までは中間決算の監査報告書が出る時期で、何かがあったときにここで直しておかないと期末でいじれないということも出てくるので、仕方がないといえば仕方がないのですね。そういえばこのあたり、四半期になってどうなったのですかね。1Qに対応しなかったから継続性云々の話になるのは、実務上時間がなさ過ぎると思うのですが。。。

ところでこのブログ、なんとなく何かを言いたくなってはじめたわけですが、自分でも何が言いたいのかよくわかっていませんwただ、会計ってのは会計そのものが物事の本質たり得ないのに、みんな、なぜそんなに会計にこだわるのか、それが不思議だったのですね。というのは、会計上の数字をいくらいじくったところで、いかに操作したところで、起こった事実は曲げようがないわけです。なのになぜこうして、明らかに意図的な「正しくない会計処理」が後を絶たないのでしょう。

逆に考えれば、これだけ数字をいじりたくなる人がたくさん出てくるということは、いじった結果がそれだけ何らかの効果を発揮しているはずです。それはおそらく、未来に対する影響力なのですね。そして、それが未来に対して影響力を持つためには、情報の非対称性が前提になるわけです。つまり、知らぬは投資家ばかりなり、という状況があって初めて、未来に対して影響力を持つことになります。だからこそ、監査、という制度が必要なのですね(その制度設計の是非はともかく)。

それにしてもこれ、恐ろしい話だと思いませんか?すでに生じた事実は変えられないのに、会計上の数字をいじれば、未来が変化するんですよ。だから、自分だけに都合のよいように数字をいじって資金を集めれば、それは詐欺的な犯罪行為ということになります。ビックカメラの公募増資は、まさにそういうことなんですね。犯罪と言って語弊があるなら、非道徳的とでも言っておきましょうか。本人たちに「その気はなかった」という言い訳を与えるような話ではなく、結果的にそうなったことを重視すべきであろうと思います。

それならなぜ会計処理に選択肢があるのか、選択肢など認めず、だれでもどんな状況でも同じ結果となるように会計基準を決めてしまえばいいではないか、という発想を抱く人も出てくるかと思われます。でも、それは勘違いなのです。もともと会計処理に選択肢など存在しないのです。

あの人種(自分もその一人?)は、よく「経済的実態」という言葉を使います。結局、この取引は何なの?という類型化をしてるんですね。実は、この類型化が大切で、その結果によって会計処理が一意に決まるのです。なのでそもそも、会計処理に選択肢があるという感覚はあまりありません。選択肢というと、先入先出し法か平均法か、といった選択を思い浮かべるかもしれませんが、そういう話とは次元が違います。

というわけで、たとえば、「このSPCは連結の範囲に含まれるか?」という命題は、会計処理の選択の話ではなく、経済的実態の解釈の話なのです。そして、経済的実態とは、当然ながら取引の当事者の意図が反映されたものですから、会社側が、その経済的実態を見誤ることなどありえない話です(もしそんな経営者だったら、その会社はあっという間に倒産ですね)。そういう意味で、世の中の粉飾決算というものは、まず間違いなく、すべて意図的なのです。重大犯罪なのです。

では、不正な会計処理を防ぐにはどうしたらいいでしょうか、という話になるのですが、それはやっぱり、そういうことをしたら結局は損をするという認識を地道に広めるしかないのでしょうね。内部統制はめんどくさいですけどね。。。

来年はおそらく、会計の仕事に就いている人たちに対して、いろんな方向からいろんな圧力がかかる年になりそうな気がします。その圧力に流されないように仕事したいものです。

それでは、お読みいただいている方々、ありがとうございました。書きたいことはたくさんあるのですが、文章を書くというのは、そこそこの時間と労力がかかるものです。ほぼ毎日のように更新されているブログもありますが、すごいパワーだな、といつも感心しています。いつまで続くかわかりませんが、来年もよろしくお願いします。皆様よいお年をお迎えください。

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